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~鬼神~第1暴走

第1暴走~優等生の不落~


1999年4月上旬

静岡県の街中にある私立三丘学園高校(ミオカガクエン)。今日はここの新入生の入学式だ。

桜の咲く木の下で2人の男子生徒が話していた。

1人はこの物語の主人公、市山 翔希であり、もう一人は翔希の親友、松川 博人である。

「高校でも同じだね。宜しく松川君。」

翔希は笑顔で言う。

「あぁ。宜しく。」

博人も同じく笑顔で言う。

2人が話していると校内放送で『新入生の生徒は各教室へ集まってください』と流れた。

「お、そろそろ集まらなきゃならない時間か・・お前と話して居ると時間の流れが早いな。市山」

「うん。僕もそう思うよ。」

2人はその後、手を振り合いお互いじゃあなと言って別れた。


翔希のクラスは1年D組、博人のクラスは1年A組だ。

皆始めて顔を合わせ、静まり返った教室で担任の先生が来るのをじっと生徒は待つ。

―しばらくして担任の教師が教室の戸を開け入学おめでとう!といい入って来た。

「みんな、入学おめでとう!あんまり力まず楽しく行こうな!」

担任は凄くいい先生だ。明るく、生徒の事を理解してくれそうな感じがした。

(いい先生だ・・)

心の中で翔希は思った。

「さぁ、それじゃぁ、クラス最初の出席をとるぞー!相沢!」

担任が出席を取り始めた。翔希の出席番号は3番で、3番目に名前を言われた時に元気良く返事をした。

「はい!」

翔希は気持ち良かった。中学生までは出席の度声を出すと周りの生徒から冷たい視線を浴びていたからだ。

しかし、今は違う。彼の周りに居るのは彼の事を全く知らない生徒で、中学生の時みたいに嫌がられたりしなかった。

(う~・・!嫌な視線を感じないといいもんだなぁ!)

またも心でそう呟いた。


出席を取り終わり担任が生徒を体育館に誘導させた。

そして、入学式が盛大に執り行われた。


式も無事終了し、今日の学校生活1日目が終了。帰りに博人と合流し自転車を漕ぎ始めた。

「クラス、どうだった?」

「うん、いい先生にも恵まれたし周りの皆もいい人そうだったしよかったよ。」

「そうか。」

翔希が笑顔で語ると博人も笑顔で返事をした。

駅に着き、駐輪場に自転車を停めると同じ高校の男子生徒が話しかけてきた。

「よう!市山!オメェも俺と同じ高校なのかよ!」

「よ・・日下君・・」

翔希に話しかけてきたのは翔希と博人と同じ中学出身の男子生徒日下 蓮次(クサカ レンジ)だった。

「お前が俺と同じ高校とは・・見たくもねェ顔があると俺むしゃくしゃすんだよなぁ!また俺が中学の時の様に

イジメ抜いてやろうか?オメェの高校生活台無しだ!っはっは!」

彼は口調からして分かる様に、中学の時翔希をイジメていた主犯格であった。

「行こうぜ、市山。」

博人がヤバイと悟り翔希のブレザー袖を掴んで引っ張り早足で駐輪場の階段へ向う。

「っは!逃げるのか?」

「違う!戦略的撤退だ!」

博人がそう言い返し、更に早く走った。


「ありがとう・・松川君・・僕・・足がすくんで・・」

翔希は半泣きで言う。

「いいよ、俺達親友だし・・親友が困ってる時はお互い様さ。」

「ホントにありがとう・・」

駅のホームで2人は電車を待つ―


翌日―

翔希は博人と一緒に自転車で学校へ向う途中。

「なぁ?今日も半日だし、帰り何処か寄ってか無い?」

「いいね、僕もそうしようかなぁって思ってたんだ!」

2人は楽しげに話した。


高校に着き、駐輪場に自転車を停めて1年生の教室の廊下で2人は別れた。

翔希が教室に入ろうとすると丁度良く戸が開く。出てきたのは日下だった。

「よォ、・・・っへ!」

微笑を浮かべ自分の教室へ帰る日下。なんだろうと思いつつも教室の戸を開ける。

「お!来たぞ・・!」

「来た来た・・」

教室に居た生徒達は翔希に冷たい視線を送る―

翔希は思った。中学の時と同じ・・

(え・・何がどうなって・・?)


第2暴走へ続く。


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